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2019.02.19

【トルコ】第1回「トルコにおける一時的雇用等に関する労働法等の改正について」
【トルコ】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/《トルコ編》第1回「トルコにおける一時的雇用等に関する労働法等の改正について」
◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。
 
《トルコ編》第1回:「トルコにおける一時的雇用等に関する労働法の改正について」

 トルコでは、2016年5月20日付で、労働法第4857号及びトルコ労働協会法第4904号につき、一時的雇用関係及び遠隔勤務に関する規定の改正が行われました。本稿では、これらの改正の概要についてご説明します。
 
1.法改正の概要
 
⑴ トルコでは、1980年代以降、経済自由化政策の下で労働市場の柔軟化が進行するとともに、派遣労働やパートタイム労働が増大しました。そこで、2003年6月には労働市場の柔軟化にあわせて労働法第4857号が制定され、非典型雇用の制度化が行われました。
 
⑵ 2016年5月20日の法改正は、非典型雇用の1つである一時的雇用関係に関する労働法第4857号第7条等を改正するものです。改正法によれば、一時的雇用関係は、①雇用事業者に雇用されている労働者が雇用主に「再雇用」されたり、②労働者が同一企業集団内で一時的に異なる事業所に配置転換されたりすることにより生じるものとされています。また、同じく非典型雇用の1つである遠隔勤務に関する労働法第4857号第14条等についても、改正が行われました。
 
⑶ 以下では、雇用事業者を利用した一時的雇用関係、同一企業集団内での配置転換による一時的雇用関係、遠隔勤務について、順を追って述べることにします。
 
2.雇用事業者を利用した一時的雇用関係
 
⑴ 一時的雇用事業の許可
 改正されたトルコ労働協会法によれば、一時的な雇用関係を成立させるためには、雇用事業者は、一時的雇用事業についての許可を取得する必要があります。
 従って、雇用事業者を利用して一時的雇用関係を締結する場合には、当該雇用事業者がトルコ労働協会から一時的雇用事業について有効な許可を得ているのかを確認することが肝要となります。
 
⑵ 一時的雇用関係の成立
ア 一時的雇用関係は、一時的な労働者の雇用を望む雇用主と、一時的雇用事業の許可を有する雇用事業者との間で、一時的労働者提供契約を締結することによって成立します。
この一時的労働者提供契約は、契約の始期及び終期、業務内容、雇用事業者に支払われる報酬額、及び、(もし、あれば)雇用事業者と雇用主に関する特約を含んでいなければなりません。
イ また、改正法は、一時的雇用関係を成立させることができる場合として、以下の7つの類型を列挙しており、各類型に応じた期間制限が設けられています。
期間制限については、無期転換ルールが存在することに留意する必要があります。すなわち、契約において定められた期間を超過して一時的な雇用関係が継続した場合、当該一時的雇用関係は、期間の定めのない雇用関係に自動的に転化します。


  類型 期間
A ・労働者の産休、徴兵等により労務提供ができない場合
 
当該状況の存続期間中
B ・季節的な農作業 期間制限なし
C ・家庭内の下働き(メイド等) 期間制限なし
D ・企業の日常的な主要業務に含まれず、かつ、断続的に遂行される業務(メンテナンス・修繕等) 最大4カ月(更新できるが、更新期間を通じてトータルで8カ月を超えてはならない)
E ・労働衛生・安全に関して生じた緊急の業務
・企業の生産に重大な影響を与える地震等の不可抗力事由による場合
最大4カ月(更新できるが、更新期間を通じてトータルで8カ月を超えてはならない)
F ・企業の平均的な生産又はサービス提供能力を予想外に上回る業務で、一時的雇用関係の構築が必要となった場合 最大4カ月(更新できるが、更新期間を通じてトータルで8カ月を超えてはならない)
G ・季節労働を除く、定期的業務の業務量の増加 最大4カ月
 
 



















⑶ 一時的雇用関係に対する法規制
 改正法は、一時的雇用関係の濫用により労働者の利益が不当に害されることを防止するという観点から、下記のとおり一定の規制を置いています。
 ① 雇用主は、一時的雇用に関する契約期間の満了時から6カ月が経過するまでの間、同一業務について他の労働者を雇用することができません。
 ② 一時的雇用に関する契約は、一定の集団解雇が行われた事業場について、当該集団解雇から8カ月を経過しない場合は締結することができません。また、公的機関における事業場や、坑内採掘作業に従事する事業場についても、認められません。
 ③ 雇用主は、ストライキ又はロックアウトが実施されている場合、原則として、雇用事業者を利用して労働者を一時的に雇用することができません。
 ④ 前記Fに該当する業務について一時的雇用に関する契約を締結する場合、雇用主が一時的に雇用する労働者の数は、当該事業場における総労働者数の4分の1を超えてはなりません。但し、当該事業場における総労働者数が10人以下の場合は、労働者を5人まで一時的に雇用することができます。
 ⑤ 通常の雇用契約が解除された場合、当該雇用主は当該雇用契約が終了してから6カ月は、一時的雇用関係を通じて同一の労働者を雇用することができません。
 
3.同一企業集団内における一時的な配置転換
 
⑴ 一時的雇用関係は、労働者が同一企業集団内で異なる事業所に一時的に配置転換されることによっても生じます。
 
⑵ この場合、一時的な配置転換について労働者の書面による承諾が必要となります。また、その期間は、原則として最長6カ月とされています。
 
⑶ 同一企業集団内による一時的な配置転換が行われた場合、労働者に対する賃金及び社会保険料の支払義務は、配置転換元の雇用主が負担することになります。但し、配置転換中の賃金・社会保険料の支払い、労働者の取り扱いについては、配置転換先の雇用主も連帯して責任を負う点は、注意する必要があります。
 
4.遠隔勤務
 
⑴ 改正された労働法第14条によれば、遠隔勤務とは、書面による雇用契約関係であって、在宅又は事業所外において、技術的な通信機器を使用する方法により、労働者が雇用主の作業組織の範囲内の業務を遂行するものを言います。
 
⑵ 雇用主は、このような遠隔勤務に従事する労働者について、通常の労働者との差別的取り扱いを行うことが原則として禁じられます。また、雇用主は、業務上の健康・安全について、当該労働者に対して情報を提供し、かつ、当該労働者を教育する必要があります。
 
⑶ この遠隔勤務という労働形態の詳細については、これから労働・社会保障省の発する省令によって決定されることが予想されますので、今後の動向に留意する必要があると言えるでしょう。
 
以上
 
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。
 
第2回に続きます。


【掲載元情報】
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル  作成

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