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2018.12.13

【サウジアラビア】第3回「サウジアラビアにおける拠点設置について」
【サウジアラビア】弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ/《サウジアラビア編》第3回「サウジアラビアにおける拠点設置について」
◇「弁護士法人マーキュリー・ジェネラル 国際コンテンツ」は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラル様からのアジア各国の国別情報を進出~撤退までの“シリーズ”で皆様にお届けします。
 
《サウジアラビア編》では、我が国にとって最大の原油供給国であるサウジアラビアの投資環境について取り上げます。
 
《サウジアラビア編》第3回:「サウジアラビアにおける拠点設置について」
 
概要
外国資本がサウジアラビアに新たに事業組織を組成する場合の主な形態としては、①有限責任会社(Limited Liability Company、以下「 有限責任会社」といいます。)、②株式会社(Joint Stock Company)、③外国会社の支店、④外国企業のテクニカル・サイエンス・サービス・オフィス(Technical Scientific Services Office)等の形態が考えられますが、このうち、これまでのところサウジアラビアに進出する外資系企業において実務上最も一般的に用いられているのは、①有限責任会社です。そこで、以下では、有限責任会社にフォーカスして、その主な特徴と設立手続の概要を紹介致します。
 
1 有限責任会社の特徴
有限責任会社は、特に株式会社と比較した場合の利点として、①株式会社より比較的短期間(通常2~4か月程度)での設立が可能であること、②出資者1名での設立が可能であること、③会社の機関構成の自由度が高いこと、④最低資本金についての制限がないこと(ただし、事業内容によっては所轄官庁等により最低資本金額が定められる場合があります。)、⑤サウジアラビア会社法独特の債務超過の場合の解散規定の適用要件が株式会社と比べ緩やかであること、といった点が挙げられ、外国投資家にとって比較的使い勝手のよい設立形態といえます。詳しくは、2018年12月6日掲載の「サウジアラビアの新会社法について」もご覧ください。
 
2 有限責任会社の設立手続
有限責任会社の設立手続は、一般に、大きく分けて(1) 商号の仮登録、(2) 外国投資ライセンスの取得、(3) 有限責任会社の商業登記(Commercial Registration、以下「商業登記」といいます。)、という手順で進みます。ただし、業種によっては、監督官庁からの特別の許認可等の事前取得が必要となる等の場合があるため、事前に専門家やサウジアラビア総合投資院(Saudi Arabian General Investment Authority、以下「統合投資院」といいます。)、その他の所轄官庁に確認をする等の対応を事前に行っておくことをお勧め致します。
以下では、一般的なサービス業をサウジアラビアで営む場合を念頭に置いて、必要書類や手続のポイント等を解説致します。
なお、申請の際に提出する書類でアラビア語以外の言語で記載されているものについては、原則として、①外国出資者の設立国の公証人による公証を受け、②外国出資者の設立国のサウジアラビア大使館の認証を受け、かつ、③サウジアラビアにおける認定翻訳業者によるアラビア語の訳文を添付する必要があるため、相当の時間とコストが必要となる点には、留意が必要です。
 
⑴ 商号の仮登録
サウジアラビアにおける全ての企業は、商業登記に登録された商号を有することが義務付けられています。
外国投資ライセンスの申請において、設立する会社の商号を記載する必要があることから、その前の段階で、新会社の商号を予約して仮登録をしておく必要があります。
商号の仮登録の手続は、商工業省(Ministry of Commerce and Industry、以下「商工業省」といいます。)において行います。
申請する商号は、既に登録されている商号と重複している商号は認められないことに加え、法律上は、①当該商号が適切であること、②混同を招くおそれがないこと、③シャリーア法(イスラム法)に抵触しないこと、④公共の利益に反しないことが要件とされており、いずれかに反すると判断される場合には、仮登録が拒絶されるので、注意が必要です。
また、申請する商号は、原則としてアラビア語で表記する必要がありますが、外資系企業については例外的にアラビア語以外の言語で表記した登録が認められる場合があります。
申請後、申請した商号が、既に登録されている商号と重複するか否か等について、通常約1日程度の審査を受け、問題がないと判断された場合には、当該商号の仮登録がなされます。
かかる商号の仮登録の手続については、商工業省のウェブサイトから、オンラインで申請することも可能です。
仮登録された商号の有効期間は、原則として2か月ですが、仮登録を更新して、有効期間を延長することが可能です。
 
(2) 外国投資ライセンスの取得
外国投資ライセンスの取得申請は、総合投資院に対して行います。一般的な外資系の法人が出資者となる場合、通常提出することが求められる書類は、以下のとおりです。
 (a)外国投資ライセンス申請書
 (b)新会社の商号の仮登録を証する書面
 (c)新会社の各法人出資者が、サウジアラビアに有限責任会社を設立することを承認する決議書
 (d)新会社の各法人出資者の設立を証する書面
 (e)新会社の各法人出資者の定款
 (f)新会社の各法人出資者の直近2年分の財務諸表
 (g)新会社の各法人出資者の委任状
 (h)新会社のマネージャーに就任を予定する者のパスポート空白のページを含む全ページの写し及びパスポートサイ ズの写真4枚
なお、申請書式の各フォームは総合投資院のウェブサイトからダウンロードすることができます。また、申請手続は、総合投資院のウェブサイトからオンライン申請をすることも可能です。
外国投資ライセンスの取得には、一般に3~4週間程度の期間が必要です。
 
(3) 商業登記
総合投資院から投資ライセンスを取得した後、商工業省(Ministry of Commerce and Industry: 商工業省)において、有限責任会社の商業登記を行います。かかる登記申請の前に、定款の認証や資本金の払い込み等の手続が必要となります。
 
a. 定款の準備・認証・公告
新会社の定款については、商工業省が作成をしている標準的な定款のフォームを用いることが一般的なのではないかと思われます。かかるフォームを用いない場合には、以下の定款の認証が拒絶されたり、通常よりも時間がかかったりする場合がありますので注意が必要です。
次に、準備した定款案につき、商工業省からの承認を取得します。その際の必要書類は、通常、①外国投資ライセンス申請書、②定款の草案、③新会社の商号の仮登録を証する書面、④新会社の各法人出資者の設立を証する書面、及び⑤新会社の各法人出資者の定款です。
商工業省からの承認を取得した後、公証人から会社の当該内容の定款について認証を受けます。公証人の定款認証手続に一般的に必要とされる書類は、①商工業省から公証人に宛てた定款草案が認証済みであることを記載した書面、②商工業省の認証を受けかつ各出資者又はその代理人が署名した新会社の定款、③新会社の各法人出資者の設立を証する書面、④新会社の各法人出資者の定款、及び⑤総合投資院が発行した外国投資ライセンスの写しです。
公証人による認証を受けた定款は、その要旨を官報等において公告します。新会社法が施行された2016年5月以降は、商工業省のウェブサイトへの掲載による公告の方法も認められています。
 
b. 銀行口座の開設、資本金の払い込み
サウジアラビアの銀行において、新会社の口座の開設手続を行い、当該口座に会社の資本金を払い込みます。
 
c. 商業登記の申請
以上を経て、主として下記の書類等を商工業省に提出して、新会社の商業登記手続を行います。
 (a)総合投資院が発行した外国投資ライセンスの写し
 (b)新会社の各法人出資者が、サウジアラビアにおける有限責任会社の設立等を承認した決議の決議書
 (c)公証人の認証を受けた定款(2部)
 (d)官報等に定款の要旨を公告した際の手数料の領収書(2部)
 (e)資本金の払込を受けた銀行が発行する払込証明書
なお、会社商号を商業登記に登録した後は、会社は、その事業用の印刷物等に当該商号を記載しなければならなくなるため、注意が必要です。

以上
 
※本稿の著作権は、弁護士法人マーキュリー・ジェネラルに帰属しています。
 
第4回に続きます。
 
【関連記事】
第1回「サウジアラビアの外資規制について」
第2回「サウジアラビアの新会社法について」
【掲載元情報】
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル  作成

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